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番外編 埋もれ木
「遥琉さん、ひまちゃんや藍子さん見てる……それに、誰か入ってきたら……」
「俺は見られても全然気にならない。だって未知がそばにいる。それだけでドキドキするんだ。陽葵のママは世界一可愛いもんな」
僕の手を取ると、自らの胸に押し当てた。
シャツ越しに伝わってくる彼の体温。温もりが嬉しい。
鼓動も早い気がする。
僕だって彼と同じように心臓がドキドキしてる。
「遥琉さん……」
そっと顔を上げると、間近に彼の精悍な顔があった。目が合うと、体の奥に火が付いたように熱を感じた。
頬に彼の手が触れ、そして静かに唇が唇に触れてきた。
「たいくん、ここちゃんめっけ。パパとママのじゃまはしちゃだめだよ」
遥香の声が後ろから聞こえてきて、どきっとして振り返ると、太惺と心望が親指をしゃぶりながら、瞬きもせず、じぃーーっと僕たちを見ていた。
「たいくんにここちゃん」
狼狽し顔を真っ赤にして言葉に詰まると、
「さてはぱぱたんの差し金だな。パパだってたまにはママとふたりきりになりたいんだよ」
今度は目尻にちゅっと軽く口付けをされた。
「は、遥琉さん!」
子どもたちの見ている前では駄目。むっとして見つめ返すと、
「ママは怒った顔も可愛いね」
「うん、かわいい」
全然懲りていない。
「たいくんにここちゃん。まずは服を着ようか。ままたんのところまでよーいどんだ」
ふたりとも体に身に付けているものはパンツのみ。服を着たくなくて脱衣所からハイハイで逃げ出したみたいだった。
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