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番外編 埋もれ木
背筋がぞっと寒くなり鳥肌が立った。
そっと橘さんの顔を見上げると、目は笑っていなかった。
雨はさらに強さを増し、横殴りの雨がガラス戸を叩き付けていた。
「遥琉からの伝言です。退院したら、一度柚さんと腹を割って話し合うように。夫婦の問題に他人が口出しするつもりは一切ありませんが、可哀想なのは子どもたちですから。一央さん、未知さんに夫婦円満のコツでも聞いたらどうですか?」
『嫌がらせか?いちいち言われなくても分かっている』
ぶちっと一方的に通話が切れた。
「橘さん、一央さんが遼成さんの元カレって、光希さんそのことを知ってるんですか?」
「えぇ、もちろん。未知さん、遥琉もいないことですし、ちょうどいい機会です。縣夫婦の馴れ初めを教えてあげます。ひまちゃんにはちょっと刺激が強いかも知れませんけどね」
陽葵の顔に視線を落とすと、クスッと笑った。
「橘、俺も聞きたい」
「マー俺も」「僕も」
七海さんと紗智さんと那和さんがひょっこり顔を出した。太惺と心望も足にぎゅっとしがみつき愛らしい笑顔でにこにこと笑っていた。
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