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番外編 決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも彼を一途に愛した

七海さんが居間からパソコンとちゃぶ台を持ってきてくれた。 「私の口から説明するより当の本人に説明してもらった方が早いですからね」 ちゃぶ台の上にパソコンを置くと電源を入れた。 「あれ?」 怪訝そうに眉をひそめる橘さん。 『おぅ橘。奏音は?』 「奏音くんは出掛けてますよ。私が用事があるのは遼成さんです」 『あ?どういうことだ』 怪訝そうに声を荒げる龍成さん。しばらく考えたのち、ハッとし目を見開いた。 『兄貴の野郎、騙しやがったな。考えてみたら奏音が俺に会いたがっていること自体おかしな話しなんだ。奏音は俺より光希に懐いているし』 「龍成さん、奏音くんはあなたや遼成さんや光希さんにとても会いたがっています。それは事実です」 『嘘じゃねぇだろうな』 「私が嘘を付いたことがありますか?」 疑いの眼差しを向けられても橘さんは余裕綽々としていた。 「奏音くんが帰ってきたら、画面越しにはなりますが会って話しをすればいいんですよ」 『それもそうだな』 奏音くんに会うのがよほど嬉しいのか顔が緩みっぱなしになった。でもすぐに表情が強張り、 『姉と一央が迷惑を掛けてすまない』 謝罪の言葉を口にし軽く頭を下げた。

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