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番外編 決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも彼を一途に愛した

『俺らの馴れ初め?』 「皆さん聞きたいそうですよ」 『酒のつまみにもならねぇ、つまらねぇ話しをか』 「私はそうは思いませんよ」 『そうか、そこまで言うんだったら教えてやる。俺は兄貴が好きだった光希に10年以上片想いをしていたんだ。今も昔も光希は可愛いぞ。寝ている顔はもちろん、泣き顔も、甘えてすり寄ってくる顔なんかとくに色っぽくて、顔だけで……み、光希‼』 龍成さんが狼狽えるのも無理がない。 光希さんが気配もなくすっと画面の前に現れたのだ。 『たいくん、ここちゃん、また見ないうちにおっきくなったね。あんよがうんと上手になったってパパから聞いたよ』 笑顔で手を振ると、光希さんの声に反応したのか、太惺と心望がにこっーと笑って見よう見まねで手を振った。 『龍、それ、馴れ初めの話しじゃない。ただの惚気話』 「ねぇ光希、柚の旦那と遼成が付き合っていたって本当?」 「那和、ストレートに聞かないの」 「紗智は知りたくないの?あの遼成が、挨拶もしない、マーのこと何も知らないくせに、いきなり怒鳴り散らす、バカにする、礼儀も知らないモノハラ男と付き合っていたんだよ」 那和さんが怒るのも無理ない。 『那和はマーが大好きなんだな。見てて分かる』 『紗智も、後ろにいるウーもみんなマーっ子だもの。未知良かったな』 照れ笑いしながら「うん」大きく頷いた。

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