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番外編 決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも一途に彼を愛した
『遼成に焚き付けられたんだよ。そんなに光希が好きなら力ずくでモノにしろってな。だから、映画に誘うフリして、映画館の近くにあったラブホに連れ込んだんだよ』
えっへんと誇らしげに5年前のことを話しはじめた龍成さん。
光希さんは顔を耳まで真っ赤にし下を向いていた。
紗智さんと那和さんは興味津々、身を乗り出して龍成さんの話しを聞いていた。
『普通は付き合おうだけど、龍は違った。結婚してくれって、目が覚めたらいきなりプロポーズされて、指を見たら指輪が嵌められてあった』
『10年間ずっと好きだった光希をやっとモノにしたんだ。そうやすやすと手離す訳ネェだろう。中坊のときから育てた恋心をなめんじゃねぇぞ』
『龍、少し黙って』
『はい、ごめんなさい』
ビクッと肩を震わせ背筋をぴんと伸ばす龍成さん。
姉さん女房の光希さんには頭が上がらないみたいだった。
『俺は遼への想いをきっぱり断ち切って、龍のプロポーズを受け入れることにした。こんな俺でも好きだって言ってくれた龍の想いを大切にしたかったから。それに、遼には一央がいたから』
『二人でお揃いの指輪を嵌めて、手繋いで、兄貴に挨拶しに行ったら』
そこで言葉を止めると、二人で目を見合わせぷぷっと思い出し笑いをした。
「遼成さんも青天の霹靂だったのでしょう」
橘さんまでもぷぷっと笑い出した。
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