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番外編 決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも一途にあなただけを愛した

「もしかして遼成さんも本当は光希さんが好きだったとか」 「つまりは両片想いってこと?」 「遼成さんもまさか光希さんが8歳も年下のの龍成さんのプロポーズを受け入れるとは思わなかったみたいです。光希さんがまだ自分を好きでいるうちに龍成さんから奪い取ることも本気で考えたみたいですが、寸でのところで思いとどまったんです」 『兄貴はブラコンだからな』 龍成さんがそのあと一央さんの壮絶ともいえる過去について話してくれた。 生後すぐ産院に置き去りにされ、ナオと同じ施設に引き取られ育った事。10才の時、施設を訪ねてきた、やがて養父となる小児異常性愛者の男に強姦され、実はヤクザだったその男に買われ、愛人にされ、数え切れない数の男たちの慰みものになってきたこと。 14才の時、クスリを打たれそうになり隙を見て裸足で逃げ出し偶然出会った遼成さんに助けを求めた事。 遼成さんは一央さんを助けるため遼禅さんに頭を下げ、養父の男との養子縁組の解消に奔走し、舎弟として面倒をみはじめたけれど、心に受けた傷はかなり根深く、セックス依存症に陥っていた彼を救うため゛こいびと関係゛がはじまった。それから12年間、二人の関係は続いた。その絆は切っても切れない。心で一つに結ばれているのだから。まさに比翼連理のつがいだ。 『楮山の野郎に好き勝手にされた姉に昔の自分の姿を重ね合わせたんだろう。兄貴が自分を助けてくれた恩義に報いる為、姉との結婚を選び、血の繋がらないめぐみと優輝の父親になった。でも一央は、姉と結婚しても兄貴と別れようとしなかった。姉は黙認し、見て見ぬふりするしかなかった。子どもたちの前では家庭的で子煩悩な父親だったからな』

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