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番外編 決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも彼を一途に愛した

「あ、あの遥琉さん」 彼にじっと見つめられて。格好いいなと思った瞬間、火が付いたように胸の奥の方がドキドキしてしまった。 恥ずかしくてまともに見れなくて下を向いていたら、そっと、まるでふんわりと包むように抱き締められた。 「なんでさっきあんなこと……」 「だって俺も、龍成と光希みたくイチャイチャしたかったから」 悪びれる様子もなくにやりと笑われた。 「だからといってみんなの前で堂々と言わなくてもいいのに」 30分だけマーといちゃつくから、寝室に立入禁止な。陽葵を橘さんに頼み、邪魔が入らないようにしっかり鍵までかけた彼。 そっと顔を上げると、僕の顔を間近から見つめてきた。 その瞳はいつも冷静で落ち着いている彼とはまるで別人のように、熱く情熱的ななにかを孕んでいて、引き寄せられるように見つめ返すと、彼の長い指がそっと僕の頬に触れてきた。 「ごめんな未知、俺の口からちゃんと話すべきだったのに」 「ううん、大丈夫。僕ね、柚さんともママ友になりたい。今は嫌われるているけど、いつか柚さんと仲良くなりたい」 「未知なら出来るよ」 彼の瞳が近付き、吐息が頬を撫で、唇に触れてきた。 「龍成たちみたくキスしたい。していいか?」 掠れた声で囁かれ、「うん」小さく頷くと、彼の唇が静かに僕のに重なってきた。

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