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番外編 決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも彼を一途に愛した
「かつてサイバー攻撃は官公庁や大手企業がターゲットとなるイメージが強く持たれていましたが、最近では地方公共団体や中小企業も狙われていて、どんな企業や団体でも起こり得るものになっています。もはや他人事ではありません」
「もし顧客情報が漏えいしていたら?」
「個人情報や機密情報が漏れた場合、顧客から損害賠償を請求されるかも知れません。業務の一時停止、社会的信用の低下、若い衆のモチベーション低下も否めないでしょうね。対策を強化するそうで、今頃茨木さんと根岸さんと鞠家さんら幹部の皆さんと話し合っていると思います」
「あの……橘さん。全然違う話しなんだけど……あ、でも、やっぱりいいです」
首を横に振った。
「一央さんと柚さんよりめぐみちゃんと優輝くんのほうが大人ですね。子どもに心配ばかり掛ける親もどうかと思いますけど」
「一央さんと柚さんにちゃんと仲直りしてもらいたい。めぐみちゃんたちの為にも」
「そうですね。遼成さんがふたりを仲裁させると言ってますが、逆に火に油を注がないか心配なんですよ」
「橘さん、一央さんが今でも大切にしているものって何ですか?」
橘さんの顔色が変わった。
やっぱりいいです、首を振ろうとしたら、
「遼成さんが一央さんにプレゼントしたものは指輪です。光希さんだって焼きもちくらい妬きます。何度包丁を持ち出し遼成さんに突き付けたか、分かりません」
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