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番外編 決して報われない恋だと知りながらも、それでも一途に彼を愛した

「さすがオヤジの息子だ。ただの居候じゃなかった。見直した。若い衆が亜優を褒めちぎっていた。播本さんも根岸も伊澤も嬉しそうだった。お、みんなありがとう」 ぱぱたんどーぞ、一太と遥香と奏音くんが次々に手巻き寿司を作り柚原さんの前にあるお皿にどんどん乗せていった。 「こんなにたくさん食べきれるかな?」 ニコニコ笑いながら柚原さんも嬉しそうだった。 彼はまだ組事務所から戻っていない。 ここはパパのせき!遥香が誰も座らないようにくまのぬいぐるみを置いてくれた。 「千里との話し合いが長引いているのでしょう。心配ありませんよ」 「ありがとう橘さん」 顧客データの復旧作業中、亜優さんがあることに気付いた。このランサムウェア、黒竜の幹部に命じられ自分が作ったのに似ている。 亜優さんはかすかに覚えている記憶を手掛かりに上海に本社を構える、ある投資会社のサイトを探しだした。 代表の男性を指差し、彼が黒竜の幹部のひとり、緑竜(リュノン)だと断言した。

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