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番外編 決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも一途に彼を愛した

週明けの月曜日。ただいま!賑やかな声とともに小学生組の4人が元気いっぱい帰ってきた。 「3年生まではごぜんちゅうでおわりなんだって。ままたんのお弁当、かなた楽しみにしてたのにな」 奏音くんがしょんぼりして肩を落とした。 今週の土曜日、小学校の運動会がある。 一太も奏音くん初めて参加する運動会にワクワクが止まらず楽しみで仕方がないみたい。 「お弁当を持参して食べて帰っても大丈夫。お便りにそう書いてありましたよ」 「本当に?」 「えぇ」 「やったー!お弁当をたべれるって。よかったね一太くん」 「うん」 一太も奏音くんもにこにこの笑顔になった。 「おやつにしましょうか。その前に、手洗いとうがいをして来て下さい」 「はぁ~~い」 ふたりは競うように洗面所に駆けていった。 「転校初日はどうでしたか?」 めぐみちゃんと優輝くんに声を掛ける橘さん。 「みんなのまえで名まえを言うのがはずかしかったけど、みんなやさしくしてくれた。奏音くんと同じ一組になった」 めぐみちゃんの目がキラキラと輝いていた。 「ぼくは二組だった」 社交的なめぐみちゃんと違って、人見知りで引っ込み思案なところがある優輝くん。クラスの子に自分から声を掛けるのって意外と勇気がいるもの。 「焦る必要はありませんよ。時間はまだまだあります」 「うん。ゆうき、がんばる」 暗く沈みがちだった優輝くんの表情がぱぁ~と明るくなった。 おやつを食べて、七海さんが先生になり宿題をはじめた。なにも狭い所に四人して固まらなくてもいいのに。 「たいくん、ここちゃん、まって」 「えんぴつあぶいよ」 「それはだめ。消しゴムだから」 お兄ちゃんたちに遊んでもらいたい太惺と心望がさっそく邪魔をはじめた。

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