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番外編 決して結ばれない恋だと知りながら、それでも彼を一途に愛した

「ごめんなさいね。ふたりきりで話しをする予定だったんだけど、心望、ママとパパよりも、ママたん、パパたんっ子だから。こんな風に僕にしがみついて離れないなんてそう滅多にないんだよ」 心望の柔らかな髪をそっと撫でた。 「私も幸に見付かっちゃったから、未知さんと同じよ」 大好きなママがやっと退院してきて、ずっと会えなくて寂しかったんだもの。安心したのか柚さんにぎゅっとしがみつき、親指をしゃぶりながら、そのまますやすやと眠ってしまった。 「なんか緊張するね」 柚さんが幸ちゃんの寝顔をそっと覗きこみながら言葉を発した。 「ごめんなさいね。あなたに酷いことばかり言ってしまって。土下座してでもちゃんと謝ってこい。それが筋だって兄に言われたわ。子供たちの面倒をみててくれてありがとう。幸ね、みんな優しくしてくれる。でも一番優しくしてくれるのは未知さんなんだ。だからみゆちゃん未知さんが大好きって。人見知りだから他のひとにあまりなつかない子だから、それを幸から聞いたときは驚いたわ。それなのに私ったら……」 後悔しても仕切れないと、目をぎゅっと閉じた。

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