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番外編 決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも彼を一途に愛した
「何をイライラしてるんですか」
「五月蝿いな」
外から彼の声が聞こえてきた。
「そうやってすぐ焼きもちを妬くんですからあなたは。面白くないからといって、しかめっ面しない。不機嫌な顔をしない。腹を立てない。ひまちゃんに泣かれても知りませんよ」
やれやれとため息をつく橘さんの声が聞こえてきて、
「相変わらず遥琉は橘の尻に敷かれているのね。頭も上がらない。昔のまんま。何も変わらない」
柚さんがぷぷっと笑いだした。
「未知さんは偉いわ」
「僕はなにもしてません」
ぶんぶんと首を横に振った。
「大好きな彼や大きい子供たちに巡り会えたのは橘さんのお陰だから。それに、僕ひとりでは子育ても姐さんもなにひとつ出来ないから。確かに遥琉さんと橘さんの関係を知って悩んだこともあったけど、今は橘さんに感謝してます」
緊張し過ぎて自分でも何を言ってるか分からなくなってきた。
「いつか彼と兄を許せる日が来るかもね」
「絶対に来ます。だから、一央さんとよく話し合って、やり直してください」
「ありがとう未知さん」
柚さんが微かに微笑んだ。
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