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番外編決して結ばれない恋だと知りながらも、それでも一途に彼を愛した
一央さんにどうしても一言言いたくて橘さんに頼んでスマホを借り、文字を入力していたら、
「未知が怒るなんて珍しいな」
子どもたちを寝かし付け、ぐずる陽葵をあやしながら添い寝をしてくれている彼に声を掛けられた。
「だって柚さん、自分が悪いの一点張りなんだよ。さっきも一央さんから電話が掛かってきて、何を言われても反論をしない。押し黙ってしまって。本当は言いたい事がやまのようにあるのに言えないなんてかわいそうだもの」
「橘がな、モラハラ…つまりモラルハラスメントの被害者になりやすい人の特徴と心理を調べてくれた。一央は、自分よりも大人しく家庭での人間関係が下である柚を選んで意図的に攻撃しているんじゃないかって。柚はあの通り何かあれば自分を責めてばかりいる。献身的で夫に尽くすタイプなんだろう。だから、どんな理不尽な要求をされても素直に受け入れてしまうだろう。カタギになるためとはいえ全く知らない土地に引っ越して友達もいなくて誰にも相談する事が出来なかったんだろう。信孝や光希の妹が、福島で一緒に暮らそうと一央に何度も言ったみたいだが、全く聞く耳を持たなかった」
「遼成さんから離れたくなかったんだね」
「あぁ、そうだな。決して結ばれない恋だと頭では分かっていても、どうしても遼成から離れることが出来なかったんだろう」
彼がくるっと寝返りを打つと布団を捲り敷布の上をぽんぽんと叩いた。
「いつまでかかってんだ。さっさと送信して、ほら、早く来い」
「あ、うん。もう一回確認したら」
文字の打ち間違えを直そうとしたら、間違って送信ボタンを押してしまった。
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