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番外編 決して結ばれない恋だと知りながら、それでも彼を一途に愛した

「男の俺が出来ない大仕事をやってのけたんだ。よく頑張った」 「僕はなにも」 普段とは違いリラックスしているせいか、穏やかな声で言い、耳たぶから顎までキスを繰り返した。 「ふ……ぁ……」 くすぐったいような甘い感覚に身体の緊張が解れて彼の腕の中で力を抜くと、唇が再び重なってきた。 「ぁ……ん」 今度は力強く吸い上げられ、うっすらと開いた口の中にぬるりと舌が入り込んでくる。 ざらつく舌が僕の舌を絡め取り、上顎を擽り、歯列を舐められた。 瞼を閉じたまま、口内を舐め回される感覚に浸った。 飲み込みきれなかった唾液が喉を伝わる。 反らした喉を這う銀の雫を追いかけて彼の唇が首筋を滑り、 「はる、さん、待って、あーーっ」 項をかぷっと噛まれ、思わず高い声を上げてしまい、慌てて手で口元を押さえた。 ドアの向こう側で橘さんと柚原さんが間違いなく聞き耳を立てている。 陽葵の1ヶ月健診が終わり、南先生の許可が下りるまではエッチ禁止だよ。 遥琉さん、それ分かってる? 体型もまだ戻らないし、肌だってカサカサだし、目の下はくまだらけだし、こんなみっともない顔、本当は見せたくないのに。 それなのに、彼ったら。 「未知ってマジで可愛いな。ますます好きになった」 満足そうに、満面の笑みを浮かべていた。

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