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番外編 かなたのおうちは
パパ電話だよ~~電話~~子どもたちの声が聞こえてきてスマホがぶるぶると振動した。
「遥琉さん誰から?」
「龍成からだ」
まさに噂をすれば影がさすだ。
「いいタイミングで電話を掛けてきてくれてありがとう。悪いが、奏音を元気付けてやってくれないか?小学校で色々あって凹んでるんだ」
『おぅ、任せておけ。それよりも、そっちに光希が行ってないか?』
「いや、来てないぞ」
『朝起きたら隣で寝ているはずの光希がいなくて、出掛けてくるって置き手紙があったんだ。財布とスマホと、あと台所を見たら出刃包丁がなくなっていた』
「一央のところに向かったんじゃないか?」
『光希は入院先を知らない』
「そうか、遼成は?」
『嫌な予感がするって言って、一央のところに向かった』
「何事もなければ……ん?」
服をツンツンと引っ張られ彼が下を見ると、奏音くんがつま先立ちになり、スマホをじぃーーと見つめていた。
『兄貴?』
「奏音に早く代われって催促されているんだよ」
スマホを渡すと「ありがとう」さっきまでとはうって代わりニコニコの笑顔になった。龍お兄ちゃんと話し掛けると、おぅ、龍成さんの声が弾んだ。
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