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番外編 かなたのおうちは

「今の親って子どものことあんまり怒らないのかな?俺なんかしょっちゅう親父に怒られていたぞ。平手打ちされたことだってある。相手の児童の親、根岸になんて言ったと思う。息子が可哀想だから怒らないでほしい。反省しているから叱らないでほしい。しまいには息子は事実を言ったまで。何が悪いの?謝ったでしょう。と開き直った。根岸のヤツ、開いた口が塞がらなかったみたいだ」 「謝ってもらったのに、奏音くんなんであんなに悔しそうに泣いてるの?」 「あんなの謝ったうちにはいんねぇよ。俺は一太に、謝るときは、相手の目をちゃんと見てごめんなさいをしろって常々言ってるだろう?相手の児童は嫌々ながら謝ったあと、バーカってあっかんべーして、親に捨てられた家なき子って奏音を馬鹿にして蜘蛛の子を散らすように逃げたんだ」 「だから、かなたのおうちはどこですかって龍成さんに聞いたんだ」 「親が子どもの前でいつも言ってるんだろう。だから、相手が傷付くようなことでも平気で言えるんだよ」 怒りを越して悲しくなってしまった。 「自分ちに何か問題があるから、子どものことで何かしか問題を抱えているから、ひとんちのことをあぁでもない、こうでもないって言えるのかもな。何もなかったら心のなかでは思っていても口には出さないはずだ」

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