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番外編 ここは七海さんの実家だから、いつでも帰ってきていいよ
「あ、そうだ。後ろのポケットにスマホが入っているから、写真撮ってもらっていい?」
「別に構わないが鷲崎に焼きもちを妬かれても知らねぇぞ」
むくっと身体を起こした。スマホを構え写真を撮ろうとしたら、
「やっぱり動画の方がいい」
「は?」
いちいち注文が多いんだ。
俺は七海専属のカメラマンか。
ぶつぶつ言いながらも、カメラを向ければ、愛くるしい表情でにっこりと笑ってくれる陽葵に彼の方がメロメロになり、夢中で撮影していた。
そのうちーー、
「たいくん、おはよう」
太惺がもぞもぞと布団から起きてきて、少しだけ頬っぺたを膨らませ陽葵をじーと見つめた。
「さすが俺の息子。一丁前に焼きもちを妬いているぞ。陽葵に七海を取られたと思ったみたいだ」
「ひまちゃんもたいくんも、同じくらい大好きだよ。だから、ムスッとしないの」
七海さんが手を伸ばすと太惺はたちまちニコニコの笑顔になった。大好きな七海さんに抱っこしてもらい朝からご機嫌だ。
「遥琉、ちゃんと撮影してる?」
「撮ってるよちゃんと」
彼がヤベ、ひと言漏らすと慌てて姿勢をただした。
「七海、太惺が起きたら後追いされて大変だからそろそろ出掛ける……あ」
かたん、ドアが静かに開いて柚原さんが顔をそっと出した。
「パパ~~た~~」
指を指すと、太惺の目がキラキラと輝きはじめた。
「ひまちゃんにたいくんにここちゃん、みんな早起きだな」
心望はまだ起きてないよ、ちらっと見たら、パッチリと目を覚ました心望と目が合ってしまった。
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