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番外編 ここは七海さんの実家だから、いつでも帰ってきていいよ

あと追いされギャン泣きされ、服にしがみついて離れようとしない太惺と心望に七海さんと柚原さんがほとほと困り果てていた。 二人を見送るため陽葵を抱っこし玄関を出てすぐ下の階の組事務所に向かった。 「ママ、家から外に出るの3週間ぶりなんだ。だから、転ばないようにしないとね」 足元に注意しながら、みんなの後ろをゆっくりと付いていった。 「七海、いっそのこと菱沼組専属のベビーシッターに転職したらどうだ?」 「今ならもれなく美人な姐さんと、めんこいややこと、上手いメシが3食付きだ」 「根岸さん、伊澤さんまで……」 七海さんの目にうっすらと涙が浮かんだ。 「ここには柚原と橘がいる。だからいつでも帰ってこい。遠慮する必要はない」 その時は俺たちはいないかも知れないが。 口には出さなかったけど、根岸さんも伊澤さんも寂しそうだった。 「お世話になりました」 七海さんが太惺を抱っこし深々と頭を下げた。すると、太惺もマネしてペコッと頭を下げた。 「太惺、鷲崎組に婿入りするにはまだちっと早いかな?ほら、パパっておいで」 「たいくん、また会いに来るから」 嫌がる太惺を無理矢理引き剥がし彼に渡す七海さん。フロアー中に響く声で太惺が泣き出した。 心望もぱぱたんから離され大きな声で泣き出した。陽葵はお目目をまん丸くして、ビックリしていた。 「行ってらっしゃい」 「行ってきます」 後ろ髪を引かれる思いで、何度も後ろを振り返りながら柚原さんと七海さんがエレベーターへと乗り込んでいった。

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