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番外編 かなたのおうちは

そろそろ陽葵が起きる頃かな? じっとしていられず、そわそわと足を動かしていたら橘さんにどうしました?と声を掛けられた。 「子どもたちのことを見てこようかなって思って。彼一人で三人いっぺんに面倒をみるのは大変だから」 「心配しなくても、柚原さんがいます。たまには妻抜きで積もる話しもありますから。たまには甘えるのもいいんじゃないですか?手に負えないときは呼びに来ますよ」 橘さんにマグカップを手渡された。 「ミルク多めのノンカフェインのカフェオレです」 「ありがとう橘さん」 一口、口に運んだ。ほんのり甘くて美味しい。 「今週いっぱいここにいたら奏音、ますます俺から離れなくなるよね?運動会で走る奏音の姿、一目でいいから見たかったのにな」 額の汗を手で拭いながら、髪をそっと撫でる光希さん。寂しそうに呟いた。 「奏音くんは私たちが思っているよりうんと大人です。納得するようにちゃんと説明すれば分かってくれます」 「そうだよね」 光希さんの表情が少しだけ明るくなった。

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