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番外編 シェドという謎の男
カタン、ドアが静かに開いて、根岸さんと伊澤さんが亜優さんを連れて来てくれた。
「お揃いのネクタイか」
「なかなか似合っているぞ」
「亜優からのプレゼントだ。オヤジの息子とはいえ新入りのひよっこだ。小遣い程度しかもらってねぇんだ。貯金しておけって言ったんだが」
「親孝行な息子じゃないか」
「茨木の言う通りだ。いい息子を持ったな」
お祖父ちゃんと度会さんに褒められ頬を染める根岸さん。伊澤さんは焼きもちを妬いたみたいで、少しむっとすると窓に近付き外の景色を眺めた。
「根岸、用があるから亜優を連れて来たんだろう?」
「あぁ。シェドの顔が見たいと亜優に頼まれて、鞠家に調べてもらった。こっちが2年前の顔で、これが今の顔だ。今のシェドの顔、よく見ると誰かに似てないか?」
テーブルに2枚の写真を並べた。
「整形したようにまるっきり別人だな」
写真を覗き込み、見比べるふたり。
渡会さんがすぐに何かに気付いた。
「コイツ……芫に似てないか?」
「芫って、弓削にえらくご執心して、今も追い掛け回している男か?」
「あぁ」
お祖父ちゃんは芫さんと実際会ったことはないけど、芫さんのことをよく知っていた。
「弓削の行方を探るために柚に近付いたということか。なるほどな」
渡会さんが舎弟に柚さんや子どもたちの所持品すべて調べるように命じた。
「急を要することだ、もし拒否されたら俺の命令だ、そう言え」
「はい」ひとりの舎弟が腰を九の字に曲げ頭を下げると、すぐに渡会さんの自宅に向かった。
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