1649 / 4008

番外編 シェドという謎の男

「未知に心底惚れている弓削に横恋慕して、挙げ句には兄弟で取り合っているんだろ?どっかの誰かさんと一緒だな」 「困ったもんだ」 腕を前で組むお祖父ちゃんと渡会さん。 「子どもたちのためにも一刻も早く手を打たないと手遅れになるわよ。幸ちゃん、もう少し我慢出来る?」 着物姿の紫さんが幸ちゃんの様子を見に来てくれた。 お姉ちゃんたちが小学校から帰ってくるまで毎日一人で留守番をしているから、たまにはお昼ごはんを外で食べるのもいいだろう。 渡会さんと紫さんは柚さんの子どもたちを目に入れても痛くないくらい可愛がってくれる。だから、子どもたちはじぃじ、ばぁばと呼んでふたりを慕っている。 でも柚さんはそれが面白くないみたいで、ふたりに内緒で市営住宅に入居出来ないか、市役所に相談しているみたいだった。 「はい」幸ちゃんがニコニコの笑顔で返した。 「波動が上がるパワーストーンやオイルを何十万という高額で売り付けているみたいよ。カウンセリング料は初回は安いみたいだけど、2回目以降は一回につき1万から2万以上。ワンフェイと呼ばれるVIP会員っていうのもあるらしいわよ。女心と、ひとの心の弱みにつけこんで悪どい金儲けをして、そのうちバチが当たるわよ」 紫さんが写真に写る男を睨み付けた。

ともだちにシェアしよう!