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番外編 シェドという謎の男
「幸を見てると一太や遥香の小さい頃を思い出すな」
「そうですね。みんなに愛されて、愛くるしい笑顔を振り撒き、メロメロにしてしまうんですから。将来が楽しみですね」
もうじき到着する玲士さんを待ってお昼ごはんを一緒に食べることにした。
太惺と心望は、紗智さんと那和さんに先にご飯を食べさせてもらっている。
亜優さんは居間と台所を何度も行ったり来たり。そわそわして落ち着かない様子だった。
「玲士のヤツ、中国語の勉強をいきなり始めたんだって?」
「プロポーズだけはどうしても中国語で話したいみたいですよ」
「日常会話もある程度出来ないと大変だもんな」
彼が亜優さんを手招きし、隣に座るように促した。
「取り敢えず座れ。太惺と心望が気になってメシが食えない」
「亜優、ご飯のときは歩き回らない」
紗智さんと那和さんが中国語で通訳してくれた。
「それがマナーだよ」
キョロキョロと辺りを見回しながら、彼の隣にようやく腰を下ろした。
橘さんは飲み物を取りに台所に向かった。
「紗智、那和、亜優が何か言ってるぞ」
「幸ちゃんのこと」
「ママが大好きなんだよ。どんなに怒られても、叩かれても、邪魔にされても、それでもやっぱりママが一番大好きなんだもの」
「亜優は、柚さんがどうしても許せないって」
「まぁ、なぁ。亜優の言うことも一理あるよな」
大きく頷くとお茶を一口、ゆっくりと飲んだ。
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