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番外編 シェドという謎の男

「龍は血の気が多いからな。間違いなく小学校に乗り込んで校長と担任を脅す。そうなったら収拾がつかなくなる。遼なりに人様に迷惑を掛けないように考えたんだろう。奏音のことは根岸と光希に任せておけば大丈夫だ。しかしまぁ、昼から随分と豪勢だな」 「オヤジに助けてもらった礼がまだだったからと、石井さんがエントランスの前に山のような玉ねぎとキャベツとレタスを置いていってくれたんだ」 石井さんは郊外で石井農場を経営している専業の農家さんだ。楮山組の2次団体の組の若い衆に因縁を付けられ、みかじめ料を請求され困っていた。警察にチクったら家族をぶっ殺すと脅され、彼と度会さんに助けを求めた。 「野菜は苦手か?」 なかなか箸を付けようとしない玲士さんに彼が声を掛けた。 「いえ、大好きです」 チラチラと見る先には亜優さん。 恥ずかしいみたいで、紗智さんと那和さんの影にずっと隠れている。 「待っていても亜優は来ないぞ」 「積極的にならないと逃げられるぞ」 彼と裕貴さんに背中をぽんと押され、箸とご飯と味噌汁を持って、嬉しそうにニコニコ笑いながら、亜優さんの隣に移動した。

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