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番外編 シェドという謎の男

「亜優は何が好きなの?」 「一番好きなのはマーとバーバ。二番目に好きなのは俺たち兄弟とネギさんとイサン」 「玲士(リン シー)はう~~ん」 「あ、でも安心して。嫌いじゃないって」 「良かったね」 「ちなみに亜優って中国語でなんていうんですか?」 「ヤー ヨウだよ」 「素敵な響きです」 「だって、バーバが寝ないで考えてくれたんだもの」 言葉が通じないからただじっと亜優さんを見つめる玲士さん。 それに対し亜優さんはずっと下を向いていた。 ふたりの通訳をしている紗智さんと那和さん。太惺と心望のお世話もしなきゃならないから大変だ。 裕貴さんはというと、ご飯そっちのけで、念願の陽葵と対面中。 泣かれるから顔を見るだけでいいと、初めは遠慮していたけど、 「初めまして陽葵ちゃん。ママのお兄ちゃんだよ。手が小さいくて可愛いね。ハルちゃんそっくりだね」 にっこりと笑う陽葵にメロメロになってしまった。 そっと抱っこし、指でほっぺを撫で撫でしていたら、その指をお手手でぎゅっと握り返され、裕貴さん嬉しくて涙ぐんでいた。 「ところで玲士、遼成はなんて」 「おぃ、玲士。返事!」 「あ、は、はい」 亜優さんしか眼中にないから、彼に名前を呼ばれても気付かなかった玲士さん。光希さんに注意され、ようやく気付き慌てて返事をした。 縣一家の姐さんとしてますます箔が付いたな。彼が驚いていた。

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