｢話しも聞かない、返事もしない、これじゃあ恥ずかしくて婿になんか出せない。組に恥をかかせる気？」 ｢すみません」 額を床に擦り付け平謝りしながら、すっかり萎縮し縮こまる玲士さん。 ｢まぁ、そう怒るな。玲士もこの通り反省していることだし」 彼が仲裁に入ろうとしたけど、 ｢遥琉、縣一家も菱沼組も笑い者にされますよ。舎弟の躾がなってないって。甘やかさないで下さい」 橘さんにピシャリと言われ、光希さんに任せることにした。 橘さんに注意されしゅんとして項垂れる彼に｢橘最強説は健在だな」裕貴さんは苦笑いを浮かべていた。 シェドがトップに君臨するピラミッド制になったのは１年あまり前。その直後から信者が新たなカモを探すのに日々活動をはじめた。最初の被害者が警察に被害を訴えたのは半年前。でも、霊感商法などと比べ、スピチュリアル詐欺が犯罪になりにくいという問題があるみたい。 ｢あるVIP会員《ワンフェイ》の女が、SNSでしょっちゅうお茶会のメンバーを募っていることにオヤジが不審に思い、女の素性を調べたんです」 玲士さんがスマホを操作しテーブルに置いた。