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番外編 シェドという謎の男
「シーシエ?いま、確かにそう聞こえたんだが」
「気のせいだろう」
「耳は遠くない。年寄り扱いするな」
「悪い。悪い」
隣の部屋からなにやら声が聞こえてきた。
「子どもたちが見てんだぞ」
「キスのひとつやふたつ、減るもんじゃねぇし、別に良くねぇか?それともあれか?」
「分かった。脱げばいいんだろう、脱げば」
「今日はやけに素直じゃねぇか」
彼の眉間にどんどん皺が寄っていった。
裕貴さんと玲士さんはぽか~んとし、柚原さんと橘さんは額に手を置き、光希さんと紗智さんと那和さんは顔を見合せ苦笑いしていた。
「新婚だし、怒ってもしょうがね。でもな子供たちもいるしな」
彼が席を立ち困り顔で隣の部屋に向かった。
「たいくん、ここちゃんおいで」
彼がドアを手で押さえ手招きすると、太惺と心望が笑顔を振り撒きながら、手をバンザイしバランスを取りながらあんよで居間に入ってきた。
「芫がこそこそ隠れて誰かと連絡を取り合っている姿を伊澤が何度か見掛けたらしい。シーシエと名前を口にしていたそうだ」
「さすが元マル暴のデカだ。眼力は少しも衰えていない」
裕貴さんが感心していた。
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