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番外編 シェドという謎の男
「陽葵、パパの幼馴染みのチカちゃんだよ」
頬っぺをつんつんすると、にこっと満面の笑みを浮かべた。
ーはじめまして、ひまちゃん。そのうちそっちに遊びに行くから、待っててねー
千里さんそっくりのチカちゃんの声にそれまでお昼寝していた太惺と心望まで目を覚ましてしまった。いつもなら寝起きが悪いふたりだけど、大好きな千里さんの声に、にこにこと笑いながら起きてきた。
「あれ、もう起きたの?」
ごめんねふたりとも。千里さんじゃなくて、電話の相手はチカちゃんなんだ。
ーたいくんにここちゃん、チカちゃんだよ。覚えてる?ー
あー、うー、と言いながら我先にお手手を伸ばしてきた。
「ママのだったら貸してあげるんだけど、これパパのなんだ。ごめんね」
「悪いなふたりとも」
彼がスマホをすっと持ち上げると、ふたりしてこれでもかと下唇を伸ばし、ばんばんと両手でテーブルを叩き、ブー、ブー、と思いっきり口を震わせた。
「こらこらふたりとも。パパのお仕事の邪魔をしないですよ」
グットタイミングで橘さんが助っ人にきてくれた。
ー相変わらずままたんしてるのねー
「千景さん、お仕事大丈夫なんですか?」
ーまだ休憩中よー
「それならいいですけど。今度の敵はかなり手強いですよ」
ー分かってる。所轄に捜査協力を仰ぐわー
電話が切れる前チカちゃんが、あっ、そうだ。何かを思い出したみたいで、
ー黒竜の幹部の男がふたり、日本にひそかに入国している。だから、くれぐれも気を付けてね。ハルくん、家族を、舎弟たちを守るのよ。いい、分かった?ー
「おぅ」
彼の表情が自然と引き締まった。
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