1668 / 4008

シェドという謎の男

甲崎さんからシェドについての最新情報が送信されてきたのは夕方だった。 担当している事件が何件もあって忙しいのに、色々と手を尽くしてくれた甲崎さんには感謝しても仕切れない。 鞠家さんもインターポールに派遣されていたときに知り合った海外の友人に、黒竜についての情報を提供してくれないかダメ元で頼んでくれていた。 紗智に焼きもちを妬かれるから内密に。上海や香港にある、ショーパブのニューハーフのダンサーや、モーテルのオーナー、ホテルのベルボーイの裏の顔が情報屋なんだ。インターポールに派遣されていたとき世話になった。キョロキョロと挙動不審になりながら、小声で彼に説明していた。 「やましいことがないなら別に隠すことでもないだろう」 「いや、それが……」 なんとも歯切れが悪い鞠家さん。 「そうか、紗智が焼きもちを妬くくらい揃いも揃って美人ってことか?」 「潜入するにはカップルの方が怪しまれないので」 「モテる男は辛いな」 「オヤジ、そのくらいで勘弁してください」 鞠家さんの額からは冷や汗が噴き出していた。 「柚は俺や信孝の説得に一切耳を貸さなかった。それどころか光希に食って掛かかり、阻止されると、包丁を振り回して大暴れして大変だったんだ」 度会さんの家から裕貴さんと光希さんが戻ってきた。 「光希大丈夫か?」 「これくらい掠り傷だよ。たいしたことない」 右手には包帯が巻かれてあった。

ともだちにシェアしよう!