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番外編 シェドという謎の男
翌朝。仲良く台所に立ち朝ごはんの準備をしていた橘さんと光希さん。
「ねぇ、橘、この家には赤ちゃんが二人いるの?」
厚焼き玉子を作っていた光希さんの手が止まった。
「えぇ。図体はでかいのにひまちゃんよりも甘えん坊で手の掛かる赤ん坊です。36才にもなるのにいまだに乳離れが出来ないんですよ。困ったものです。たいくんとここちゃんを少しは見習ってもらいたいものです」
はぁーと深いため息をついた。
「未知、おはよう」
「未知さん、おはようございます」
光希さんと橘さんと目が合い、両手に抱えていた哺乳瓶2個とミルクの缶を思わず落としそうになり、慌てて抱え直した。
「お、おはようございます」
なるべく平静を装うとしたけど、
「私たちに当て付けですかね?」
「俺たちだって負けないくらいラブラブなのに」
「でも、まぁ、我慢しただけえらいです」
「未知」
光希さんに急に声を掛けられて、
「あ、は、はい」
声が裏返ってしまった。
「昨日の夜、橘がね、フライパンを手に寝室の前で待機していたんだよ。柚原もそわそわしてドアの前を行ったり来たりしていた。ふたりとも決して聞き耳を立てていた訳じゃない。遥琉のことだから、おっぱいだけでは満足できなくて、また暴走するんじゃないかってそれが心配で見守っていたらしいよ」
「心配掛けてごめんなさい橘さん」
「風呂から上がってくるなり、これなら未知とエッチをするから邪魔するなって真面目な顔つきで言われて、私の肝は冷えましたよ」
「本当にごめんなさい」
ひたすら謝るしかなかった。
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