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番外編待ちに待った運動会
まだ親子じゃないけど仲睦まじいふたりの様子に自然と笑みが溢れる。でもそんな微笑ましいふたりに水を差したのは、意外な人物だった。
「姐さん一大事です」
なるべく邪魔をしないように玲士さんが小声で光希さんに声を掛けた。
「一大事って、また組事務所が発砲された?」
「いえ、違います。一央さんが事務所にいる。姐さんとの面会を求めていると卯月組長からの伝言です」
「一央は動けないはずだ」
「いや、それがタクシーに無賃乗車したらしく、卯月組長と鞠家若頭が運転手に謝り、2万近い運賃を立て替えてくたから警察沙汰にならずに済んだようなものです」
「は?」
光希さんの表情がガラリと変わった。
「柚を命に代えても支える覚悟を決めてここに来たか、もしくはこどもたちを迎えに来ただけか。ふたつにひとつ。玲士、お前はどっちだと思う」
「菱沼組の先代夫婦に柚さんたちが匿われていることは一央さんご存知のはずです。普通に考えたら、厄介になっている度会さんの家に真っ直ぐ向かうのが筋」
「ここには来ない」
「姐さんの言う通りです」
奏音くんが不安そうに光希さんを見つめた。
「心配はいらない」
不安を一掃するように光希さんがにっこりと微笑むと、奏音くんの頭を優しく撫でた。
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