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番外編 待ちに待った運動会

「夕御飯を食べて、お風呂に入って、明日の準備をして待っていれば帰ってきますよ」 「本当に?」 「えぇ」 ママ行ってらっしゃい。笑顔で光希さんを見送ったあとそのまま玄関先に座り込んでしまった奏音くん。かれこれ30分は動いていない。 見るに見かねた橘さんが隣にしゃがみ込み、ゆっくりと話しかけた。 「お客さん、めぐみちゃんとゆうきくんのパパなんでしょう?けが良くなったの?」 「さぁ、どうでしょうね」 柚さんや子どもたちが心配で病院を抜け出してきた。そう言えればどんなにいいか。 子どもだから分からないだろうとその場しのぎの嘘をついても、いつかバレるもの。 「ままたん、一太くんママ、心配してくれてありがとう。かなた、もうだいじょうぶになった」 手の甲で濡れた瞼をごしごし拭くとゆっくりと立ち上がった。 「か、な、た、く~~ん!」 「お、ふ、ろ、はいろーー!」 「ぱぱたん、のぼせちゃうよ」 「はやく、はやく」 パパが迎えに来てくれるのを寝て待つことにした晴くんと未来くん、そして、一太が奏音くんを迎えに来た。 「かなたくん、いちたとおふろにはいってまっていよう」 「うん」 一太がすっと差し出した手をそっと握ると一緒に走っていった。 良かった。 橘さんとリビングに行こうとしたら、 ー逃げんのか!ー ーおぃ、光希!ー 玄関のドアの向こう側から怒鳴り散らす声が聞こえてきた。

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