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番外編 待ちに待った運動会
光希さんを助けなきゃ。
橘さんに止められたけど、玄関のドアを開けた。
あっ……。
骨が細く色白の、僕と同じくらい小柄な男性が光希さんと睨み合っていた。
髪は栗色でさらさら、つり上がったきつめの目は気の強さを物語っているようだった。
僕に気付いた男性に、何見てんだよ。見世物じゃないよ。じろりと睨まれた。
「ご、ごめんなさい」
慌ててドアを閉めた。
光希さんを助けるためにドアを開けたのに。声を掛ける間もなかった。ひとつ深呼吸してから、ドアノブにそっと手を置いた。
「未知さん、さっきも言いましたが、私たちは口を挟める立場にはありません。ほっとくのが一番です」
「光希さんと一緒にいた、すごく綺麗なひと、彼がもしかして一央さん?」
「えぇ、そうです。光希さんをなにかと目の敵にしています。未知さんが今までイメージしていた一央さんとはまるで違うから驚いたでしょう」
目をぱちぱちしていたら橘さんにくすくすと笑われてしまった。
「だって一時期、ほんの短い間とはいえ縣一家の組長だったんでしょう。だから、てっきり……」
「本人はやりたくなかったんですけど、遼成さんの傍にいたいが為に、跡目に自ら立候補したんです」
玄関の外で大きな声を上げる一央さんに、はじめ我慢していた橘さんだったけど、だんだんイライラしはじめた。
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