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番外編 待ちに待った運動会
「橘さん怒っちゃダメ」
咄嗟に腕を掴んだ。
「大丈夫です。注意するだけですから」
にこっと微笑むと、ドアを半分だけ開けた。
「一央さん、大きな声を出されるのが怖い子、苦手な子がいます。それに、赤ちゃんが寝てるんですよ。静かにして頂けませんか?そんなに喧嘩がしたければ組事務所でしてください。玲士さん、一央さんを連れていってください」
なおも渋る一央さんを、玲士さんらが諭すと、
「今まで文句ひとつ言わず従順だった柚を焚き付けたのは、卯月の女房だって聞いた。文句のひとつか、ふたつ言わせろと光希に頼んだのにまともに取り合ってもくれない。これが客人に対する態度か?」
「一央、それは違う」
光希さんが首を振った。
「へぇ~~そうやってそっちの肩を持つんだ。縣一家の姐さんが聞いて呆れる。また、包丁で俺を脅すのか?」
挑発的な一央さんの態度に橘さんがぶちギレそうになった。
「止めろ。ひとんちの前で騒ぐな」
彼がすっと現れた。目を細め、胸の前で腕組みをした。
「一央、H総合病院へ向かったはずのお前がなんでここにいる」
イライラしながら一央さんをじろりと睨み付けた。
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