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番外編 待ちに待った運動会
汗をかいたからひとっ風呂浴びてからメシにする。そう言ってお風呂に向かった彼。30分過ぎても、40分過ぎても上がって来なくて。心配になり冷蔵庫で冷やしておいたペットボトルのお茶を握り締め、脱衣室をそっと覗いたら、床に座り込みなにやら考え事をしていた。
「どうした未知?」
「遥琉さんがなかなか戻ってこないから、逆上せて倒れているんじゃないかって心配で様子を見にきたの」
「そうだったんだ。ごめんな心配を掛けて。飲み物までわざわざ持ってきてくれたんだ。ありがとう」
ペットボトルを受け取ると蓋を開け、半分くらい一気に飲み干した。
「若先生に一央のことを相談したら、快く引き受けてくれたんだ。柚に会わせる顔がない、度会さんにも会いづらい、信孝に世話になるのはプライドが許さない、なら、帰れって言ったら、怪我人を見捨てるのか、父親に似て薄情な男だと開き直りやがった。だから若先生に頼んだのに、別の病院がいいってきめっこして……」
ズボンだけ身につけ、上半身は裸という格好のまま、彼はため息ばかりついていた。
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