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番外編 待ちに待った運動会

「遥琉さん何か着た方がいいよ。たいくんとここちゃん真似するから」 Tシャツを篭のなかから取り出し彼に渡そうとしたら、 「わっ、わっ」 ふわりと体が宙に浮いたから驚いた。 「遥琉さん、どさくさに紛れてお尻を揉まないの」 「揉んでないぞ」 「だってさっきから揉んでるよ」 お尻を支えている大きな手が、双丘を鷲掴みし、愉しそうに揉んでいるのに、知らんぷりをする彼。 「もう少し肉付きが良かったら揉みがいがあるのにな」 「もぅ、遥琉さんったら」 頬っぺをこれでもかと膨らませ睨み付けたら、悪びれる様子も見せずゲラゲラと笑いだした。 「未知、ほら、見てみ」 廊下の窓の前で彼が急に立ち止まった。言われるがままに視線を向けると、ルビーのような赤い星が西の空の低い場所でちかりと光っていた。 「あれが宵の明星だ」 「宵の明星って?」 「金星のことだ」 「綺麗だね。なかなか夜空を見る機会がないから星のこと全然分からないや」 「俺もだ。でも、たまにはこうして一緒に見るのもいいかも知れないな。他愛もない話しをしながら、子供たちの話しをしながら」 「うん」頷いて彼の首の根っこにしがみついた。 そのとき彼の足元に可愛らしい頭がふたつ見えた。 「たいくん、ここちゃんに見つかっちゃったか。ママもたまには抱っこしてやらないとな。ほら、ゆっくりついでおいで」 てっきり下ろしてもらえると思ったのにそのまま居間へと運ばれた。 彼に抱っこしてもらいたかった太惺と心望は半べそをかきながらも、よちよちとあんよして、懸命に後ろから付いてきた。

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