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番外編 待ちに待った運動会

「人妻の前ですよ。服を着てください。目のやり場に困ります」 「あ?人妻だと?」 「間違ってはいないはずです」 「ごめんなさい。ずっと握り締めていたからくしゃくしゃになっちゃった。代わりの服を急いで持ってきます」 寝室に戻ろうとしたら、 「未知の温もり付きならくしゃくしゃでもなんでもいい」 腕がすっと伸びてきた。 「お、まだ温かい。嬉しいな」 ニコニコ笑いながらパジャマをさっと羽織るとボタンを留めた。 「人妻さん、これでいいか?」 「はい、良くできました。ご飯にしましょうね」 橘さんの前ではどうも調子が狂う彼。 「パパ、ハンバーグ。おいしそうだよ」 「おぅ、そうか」 一太がおいでおいでと手招きすると、 「みつきさんママ、早く、早く」 「分かったよ」 奏音くんも負けじとおいでおいでと手招きした。 「たいくんとここちゃんは、ごはんたべたでしょう」 美味しそうな匂いにつられて、太惺と心望が一太の膝の上に競うようによいしょ、よいしょとよじ登っていった。 「さっちゃん、ななちゃんたすけて。いちた、ごはんたべれない」 「たいくん、ここちゃんはねんねの時間だよ。歯磨きしようね」 紗智さんと那和さんが抱っこしようとしたら、一太の腕にぎゅっとしがみつき、頬っぺを膨らませ、ブーブーと口を震わせた。 「ねんねも嫌、歯磨きも嫌、遊びたいか。たく、しょうがねぇな」 一太にご飯を食べさせる為、彼が太惺と心望と遊ぼうとしたけど、いつまでたっても片付けられないでしょう、と橘さんに注意され、しゅんとしていた。 結局、柚原さんが呼ばれてその間、ふたりの面倒をみてもらうことになった。

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