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番外編 待ちに待った運動会
「ウー、若先生と喋るか?」
彼がスマホを左右に振った。 紗智さんに通訳してもらうと、頬を真っ赤に染め、もじもじしはじめた。
「圧迫骨折で手術した体でよくまぁ、来たもんだ。若先生もたまげて、それで電話を寄越してくれたんだ」
「圧迫骨折?」
「背骨を形成する椎骨が、圧力によってつぶれる骨折だ。治るまで2、3ヶ月はかかる」
一央さんの場合後から追突されたから、その他にもムチ打ちなどの後遺症も残っているはずだって彼が話していた。
「最後の最後まで俺の世話にはなりたくないと駄々をこねて、遼成にかなり怒られたらしい。それで大人しくしばらく入院することになった。快諾してくれた若先生のメンツを潰すわけにはいかない」
「何から何まで面倒を掛けてすまない」
ちょうど子どもたちを迎えに来た信孝さんが居間に入ってきた。
「いいってことよ。それより、ナオの仮退院が決まったって本当か?」
「晴と未来と未知に会いたい一心で、つらい治療にも耐え、一生懸命リハビリを続けたから、仮退院の許可が下りた」
「良かったな。どうした?カミさんが帰ってくるんだ。もっと嬉しい顔をしたらどうだ?」
「晴と未来がすっかりままたんラブ、ぱぱたんラブになってしまって、ママが帰ってくるのは嬉しいけど、ご飯も美味しいし、友達もいっぱいいるし、ここにいた方が楽しいから家に帰りたくないってさっきも大駄々されて……」
ほとほと困った表情で、はぁ~と深いため息をついた。
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