1683 / 4008
番外編 待ちに待った運動会
ウーさんは若先生と何を話しているのかな?にこにこして楽しそうだ。通訳担当の紗智さんは若先生の訛りに悪戦苦闘し、途中から柚原さんにバトンタッチした。
「ナオの介助もある。柚のこともある。しばらくお前は休め」
「ありがとう遥琉。でも、会社の方は休む訳にはいかないんだ。社員にこれ以上迷惑を掛けられない」
「悪いな信孝。二足のわらじを履かせて」
「いいんだ。自分が決めたことだ。遥琉は悪くない」
後片付けを終えた橘さんがお茶を持ってきてくれた。
「私と柚原さん、交代で信孝さんの家に通い、ナオさんの身の回りの世話や、晴くんと未来くんの面倒をみれれば一番いいんですけど」
「ありがとう橘。その気持ちだけでも嬉しいよ」
「あの……」声を掛けていいものか一瞬悩んだ。
「どうした未知?」
「ううん、、なんでもない」
首を横に振った。
「遠慮せずに言ってみろ」
「あのね、ナオさんと晴くんと未来くん、下の階の空きテナントで仮住まいさせるって出来ないのかな?ご飯はみんなで手分けして運べばいいし、お風呂はみんなでここを使えばいいし、それなら信孝さんも安心してお仕事が出来ると思うんだ」
「空きテナント?」
「菱沼金融を一階に移転させるってお祖父ちゃんが。組事務所が隣だとカタギの客が怖がるから、一階なら入りやすいかなって」
「そうだった。そんな話しもあったな。すっかり忘れていた。ごめんな未知」
「ううん、大丈夫」
ごたごた続きでそれこそ目の回るくらい毎日朝から晩まで忙しいんだもの。無理しないで欲しい。遥琉さんが倒れたら大変なことになるもの。
ともだちにシェアしよう!

