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番外編待ちに待った運動会

普段決して怒らない紫さんが怒るんだもの。よほどのことだ。 「あらあら走っちゃ危ないわよ」 噂をすれば影がさす。紫さんが手伝いに来てくれた。幸ちゃんも一緒だ。 「度会は、子どもたちを小学校に送っていって、その足で柚さんを病院に連れていったわ。まずはアルコール依存症を治さないとね」 藤平さんが入院していたHが丘病院に柚さんも通院し治療を受けている。 「あの紫さん……」 「柚さんを怒鳴ったのはね、憎いからじゃないのよ。ほっとかれる幸ちゃんの気持ちに少しは気付いて欲しかったの。未知さんは分かってくれるわよね?」 「はい、分かります」 「なら良かった」 紫さんが割烹着をさっと羽織った。 「幸ちゃん、おばあちゃんのお手伝い頼んでもいいかしら?」 「うん。みゆちゃん、おてつだいだいすき」 若い衆から雑巾を受け取ると、仲良くテーブルと椅子を拭きはじめた。 仲睦まじいふたりの様子を見守っていたら「兄貴」吉崎さんが息を切らし駆け込んできた。 「どうしたそんなに急いで。遥琉は子どもたちを小学校に送って行った。そのうち戻ってくる」 「柚のスマホを調べたら、市内でお茶会が開かれることが分かった。それも今日の午後だ」 「お茶会って、いかにも胡散臭いなんとかセミナーだろう」 「はい」 お祖父ちゃんが紫さんに、柚さんが病院から姿を消す可能性がある。至急度会に連絡をしてくれと頼んでいた。

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