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番外編 ゴメンね

「初めての運動会だ。遠足の前日と同じで楽しみでなかなか寝れないんだろう。一太は熟睡中か」 「ううん」 遥香が首を横に振った。 「ひまちゃんおめめさましたから、ままたんとぱぱたんといいこ、いいこしてたよ」 「そうか」 泣き声が聞こえないから全然気付かなかった。寝室に行こうとしたら、 「おにいちゃんとままたんとぱぱたんがいるからだいじょうぶだよ」 遥香にはっきりと言われてしまった。 彼が心望を、裕貴さんが太惺を抱っこしてくれて、揺りかごのようにゆらゆらと体を優しく揺らしたりして寝かし付けてくれた。 すっかり目が覚めてしまった遥香を膝の上に抱っこし背中を擦っていたら、いつの間にか眠ってしまった。 「この体勢、意外と腰にくるね。足も痺れて痛い。未知は大丈夫?」 「足は痺れているけど大丈夫です」 「子だくさんママは強いね」 同じように膝の上に奏音くんを抱っこし寝かし付けていた光希さん。 「あのね未知、言わない方がいいかと思ったんだけど、そういう訳にはいかないから言うけど」 そこで言葉を一旦止めると、彼と裕貴さんの顔をチラッと見てから更に言葉を続けた。 「柚、見舞いに来た紫さんに煩いんだよ、くそばばあって罵声を浴びせ、顔にテレビのリモコンを投げ付けた」 「え?」 どきっとして光希さんの顔をみつめた。 「柚は大麻は吸ってないと思う。でも、自分が誰だか分からないくらい酔っ払っていた。保護されたとき、柚も少女も全裸だった。証言も曖昧で、紫さんは柚を叱った。それで暴れて大変だった」 「紫さんは柚さんが憎いから怒ったり、叱ったりしている訳じゃないよ」 思わず大きい声を出してしまい、どきっとして遥香を見ると、すやすやと眠っていた。良かった、起きなくて。

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