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番外編 ゴメンね

「那奈のことはお姉さんって呼んでいるのに、なんで俺だけいまだにさん付けなんだ。他人行儀みたいで嫌だ。お兄ちゃんって呼んでもらいたい。耳にタコが出来るくらい何度も言われるこっちの身にもなって欲しい」 「だからそれは」 裕貴さんの歯切れが悪くなった。 「未知、兄弟なんだ。裕貴お兄ちゃんってあげたら?」 光希さんに言われ、彼の顔をそっと見上げたら、 「そんくらいで焼きもちを妬かねぇよ」 困ったように苦笑いをされてしまった。 「これからはお兄ちゃんって呼んでやればいいんだよ」 「うん、分かった」 遥香を膝の上から落とさないように両腕でしっかりと抱き締め、裕貴さんの方に体の向きを変えると、なぜかがちがちに緊張していた。普通、緊張するの僕の方なんだけどな。 「あの裕貴さん……じゃない。お兄ちゃんだ。なんか、恥ずかしいし照れるね。どうしていいか分からなくなっちゃった。お兄ちゃん、こんな妹だけど、遥琉さんと子どもたち共々これからも宜しくお願いします」 下げられるところまで頭を下げた。 「俺の方こそ、筋者の兄貴だけど宜しくな。心と優真共々宜しくな」 お互い緊張し過ぎて、お見合いみたくなってしまった。 「もしかして泣いているのか?」 「目にごみが入っただけだ。そんなことより子どもたちを寝せないと」 お兄ちゃんが頬を赤らめ顔をぷいと逸らした。

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