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番外編 ゴメンね
ー裕貴さん良かったね。長年の夢が叶ってー
ーアタシまで嬉しくなっちゃったー
心さんと千里さんの声がどこからともなく聞こえてきたから驚いた。
「俺じゃないぞ」
真っ先に疑われると思ったのかな?彼が首を横に振った。
「俺のでもない。ということは……」
お兄ちゃんが光希さんをチラッと見た。
ーひーくん、そんな怖い顔しないの。ただでさえ顔が怖いんだもの。たいくんに泣かれても知らないわよー
「五月蝿いな」
痛いところをつかれ苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
ーアタシが光希に頼んだのよ。柚のことも気になっていたから。だから、怒らないであげてねー
「これ、いつから繋がっているんだ?」
彼がテーブルの上に置かれたスマホを怪訝そうに見つめた。
ーテレビ電話?えっと……あら、やだ。忘れちゃったー
「は?惚けるな」
ーお兄ちゃんが紫さんがみんなのお母さんだって言った辺りかな?ー
ーやぁね、そのもっと前よー
深夜だとは思えないくらいテンションが高い心さんと千里さん。相変わらずとても賑やかだ。画面の端っこに映る笹原さんがとても小さく見えた。
ーあら、珍しいこともあるのね。遥琉がここちゃんをあやしてるー
ー本当だー
ー明日運動会なんだから、雨降らせないでよー
ーそうだよ、お兄ちゃんー
今度は彼が耳の痛いことを矢継ぎ早に言われ、怪訝そうに眉をひそめた。
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