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番外編 ゴメンね

「橘さん、ここにはチカちゃんたち来ないよね?那和はまだ寝てるし、たいくんとここちゃん、熱は下がったけど、お腹の調子が悪いみたいでくずって泣いてばかりいるから」 紗智さんの心配事も尽きない。 「チカさんと国井さんに事情を説明し、十階は関係者以外立入禁止にしてもらいました。もし県警が約束を反故にし強行突破して十階のフロアに突入してきても裕貴さんとウーさんと玲士さんらが玄関の前で仁王立ちしていますので、まぁなんとかなると思いますよ」 「龍一家の組長が福島にいることは連中は知らない。だから、かなり驚くはず」 エプロン姿の光希さんが台所から姿を見せた。 「かぁいい!」 遥香が両手をぱちんと叩いた。 「みつきさん、いっかい、まわって」 なんか照れるなと言いながらもまんざらでもないのか、くるっと一回転してエプロンを見せてくれた。 色は水色。左胸の部分には目を引く花のモチーフ。かぶるタイプの撥水加工のエプロンは、奏音くんが母の日に……一週間遅れで先週、光希さんにプレゼントしたものだ。 自分の服を買いにじぃじに連れていってもらったお店でこのエプロンを見付けるなり、みつきさんママに絶対似合うと一目惚れ。 「一太くんパパ、かなたにおしごとください」 帰ってくるなり事務所にいた彼のところに真っ先に向かい頼み込んだ。

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