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番外編 ゴメンね

そしてこのエプロンを買うために一週間、小学校から帰ってきてから、組事務所とじぃじの会社で一生懸命お掃除のお手伝いに励み、彼からもらったお駄賃を握り締め、根岸さんと伊澤さんにお店へと連れていってもらい購入してきた。本当は萌木色のが欲しかったみたいだけど。 ー奏音、ママの好きな色どうして分かったの?ありがとう。すごく嬉しいー 光希さんから掛かってきた電話にしょんぼりして出た奏音くん。明るく弾む光希さんの声に、たちまち溢れるような笑顔を見せてくれた。 縣の家を出た時、平常心を失っていた光希さん。無意識のうちにこのエプロンで包丁を包み一央さんと刺し違える覚悟で向かった。 寸でのところで正気を取り戻すことが出来たのはこのエプロンのお陰だった。奏音くんの顔が脳裏に浮かんできて思い止まることが出来た、光希さんがそう話してくれた。 「ほら、どけ。邪魔だ」 「令状はあるのか?」 「あ?お前誰だ?」 急に外が騒がしくなった。家の中まで怒号が聞こえてきた。 「ママこわい」 遥香が大きな声に怯えて抱きついてきた。 「光希さん、紗智さん、たいくんとここちゃんとひまちゃんをお願いします」 「分かった」 「任せろ」 ふたりが大急ぎでこどもたちが寝ている寝室に向かった。 「幸ちゃん、おいで」 橘さんが手招きすると、くまのぬいぐるを脇に抱えた幸さんが泣きながら姿を現し橘さんにぎゅっとしがみついた。 「龍一家の組長がこんなところにいる訳ないだろう」 「ハッタリ言うな‼」 ガタンと何かが倒れる大きな音に、遥香と幸ちゃんが驚いて泣き出した。

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