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番外編ゴメンね

「帰るぞ」 「えぇ!やだ。ダ~リンだけ帰って。アタシ、ここに残るから」 「は?」 自宅の捜索が済んだ。すぐ戻るようにと上司から召集がかかったのはふたりがここに到着して10分後のことだった。断固拒否のチカちゃんに国井さんが困り果てていた。 「お仕事でしょっちゅう来られるのは困りますけど、それ以外でしたら大歓迎ですよチカさん」 「え?本当に?」 「えぇ。お昼ご飯を準備して待ってますので、お仕事頑張って来て下さい」 見るに見かねた橘さんが助け船を出してくれた。 「じゃあ、気合い入れて仕事してくる。さっさと片付けてくるから、ハルちゃんとみゆちゃん、チカお姉さんのこと待っててね」 「はぁ~~い」 「おみせやさんごっこしよう」 「うん」 誰がチカお姉さんだ。年を考えろ年を。ぶりっこしても可愛くねぇぞ。彼が隣でぶつぶつと一人言を言ってたら、チカちゃんに思いっきり睨まれた。 子どもたちの頭を一人ずつ優しく撫で撫でし、陽葵をそっと抱っこしあやしてから、チカちゃんと国井さんが玄関に向かって歩き出した。 「あ、そうだ」 遥香が何かを思い出したみたいで、幸ちゃんの手を引っ張り、ふたりのあとを追い掛けた。 「どうした遥香?」 「みゆちゃんのくまさんのなかからなんかへんなものがでてきたの」 「へんなもの?」 「うん。ちくってゆびがいたかったの。チカおねえちゃん、けいじさんだからわかるかなって」 「針でも入っていたのか?裕貴、ふたりを引き留めてくれ」 「分かった」 お兄ちゃんが急いで追い掛けた。

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