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番外編 ゴメンね

「オヤジは運動会に行ってください。もう時間がありません」 「見付かった注射針から薬物反応は出なかったが、それが何なのか分からないんだ。ここを留守にする訳にはいかない」 「俺と柚原と橘がオヤジの代わりに留守番をします。なにかあればすぐ連絡します」 「下手に騒ぎ立てるとそれこそ相手の思うつぼです」 鞠家さんに説得され、後ろ髪を引かれる思いで、彼とお兄ちゃんと光希さんが橘さん特製のお弁当を持って運動会に出掛けていった。 そのあとすぐ上澤先生が往診に来てくれた。念のため15分ほど安静にして横になっていた幸ちゃん。特にこれといって変わった様子はなく、遥香とまた遊びはじめた。 柚さんは何らかの食物アレルギーを持っていて、アナフィラキシーを起こしたときに太股に自分で注射する、アドレナリン注射のではないか、上澤先生がそんなことを話していた。 「妊娠して体質が変わったんでしょうね。今まで食べても大丈夫だったのに、ある日突然、食物アレルギーを発症したのかもしれません」 「何も隠す必要ないのに」 「私たちを信用出来ないのでしょう。それに、干渉してもらいたくないんでしょう」 「そんな……」 続く言葉がうまく出てこなかった。

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