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番外編 龍ぱぱ

龍成さんが小学校でひと騒動を起こしてないか、心配で何も手につかなかった。もう何度目になるか分からないため息をついていたら、 「マー洗濯物、畳むの手伝うよ」 「俺も」 那和さんと紗智さんが両隣にペタンと座り、山のような洗濯物を一緒に畳んでくれた。 「あのね」 言うか言わないか迷ったけど、ふたりには嘘をつきたくないから正直に言おうとしたら、 「龍、小学校に来たんでしょう?」 ふたりとも知っていたらびっくりした。 「そっちの天気は?晴れか、雨か、曇りか、しつこく、玲士のところに電話が来てたみたい」 「なんか嫌な予感がする、玲士の嫌な予感、見事に的中した」 「今頃、どうなってるだか。大人しく座ってくれればいいけど」 「文句の一言くらい相手に言わないと腹の虫が消えないもの」 「那和、それをいうなら腹の虫が治まらないだよ」 紗智さんがくすくすと笑い出した。 彼からも、お兄ちゃんからも連絡がなかった。 「えっと、こういうのって何て言うんだっけ?」 「嵐の前の静けさだよ」 「あ、それだ」 那和さんがぱちんと両手を叩いた。 マ~~マ‼ 太惺と心望がちょっこり顔を出した。 「歩き回れるくらい元気になったんだね」 「顔色も明るくなって良かった」 悪戯が大好きなふたりの狙いはもちろん洗濯物。 「あ~~せっかく畳んだのに」 「散らかすんだったらこっち。畳んでないほうだよ」 あんよでそっと近付くと洗濯物に嬉しそうにダイブし、きゃきゃと歓声を挙げながら洗濯物をぽんぽんと投げ、これまた楽しそうに散らかし始めた。

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