｢あ、チカおねえちゃんだ」 ｢おかえりなしゃい」 真っ先に姿を見付けた遥香と幸ちゃんがニコニコと笑いながらチカちゃんのもとに駆け寄った。 ｢みゆちゃん、具合どう？」 ｢うん、げんき。みゆちゃんのくまさんは？げんきになった？」 ｢うん。お医者さんに行ってちくちくお腹を縫ってもらったからもう大丈夫だよ」 ｢ほら、幸」 国井さんが幸ちゃんにくまさんのぬいぐるみを渡した。 ｢チカおねえちゃん、おじちゃんありがとう」 ｢おじちゃん？」 まだそう呼ばれたくないのかな？国井さんが困ったような表情を一瞬だけ見せた。 ｢チカおねえちゃん、ままたんにごはんっていわれるまであそぼ」 ｢ずっとまってたんだからね」 ふたりしてチカちゃんの手をそっと握ると、そのまま引っ張っていった。 ｢大麻入り煙草と違法ドラッグがくまの腹の中から見付かった」 ｢え？」 一瞬自分の耳を疑った。 ｢おそらくだけど、いままでお茶会に幸も連れていったんじゃないか。夢華に勧められた錠剤を飲んだフリして、くまの腹の中に隠していたんだと思う。煙草はおそらく昨日のだろうな。見付かったらヤバイと思って咄嗟に隠したんだろう」 ｢柚さんは逮捕されてしまうの？」 ｢女子中学生の指紋と唾液が煙草に付いていた。柚は未来あるその子を守ろうとしたんだろうな。大麻所持、証拠隠滅で逮捕することも出来るんだが、アルコール依存症を治療するのがまず先だ。午後には釈放され、そのままかかりつけの病院に入院することになるだろう」 ｢国井さん、ありがとう」 下げられるところまで頭を下げた。