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番外編 ぽちゃぽちゃ大好き太惺
「遥琉、悪いけどなにか服を貸してくれないか?こんなことになるなら宅配便で荷物を全部送るんじゃなかった」
お兄ちゃんの声が聞こえて来たから慌てて彼から離れた。その直後、カタンとドアが静かに開いて、髪をタオルで拭きながらお兄ちゃんが入ってきた。しかも腰にタオルを巻いただけの格好で。
「なんでお兄ちゃんまで裸なの」
目のやり場に困り、耳まで真っ赤になりながら両手で顔を覆った。
「風呂上がり皆さん服を着たがらないのは間違いなくパパに似たんでしょうね。毎日裸で家の中を逃げ回ってますから。男の子は裸族でも一向に構わないんですけど、ここちゃんは女の子ですからね。悪いお手本をあまり見せて欲しくないんですけどね」
橘さんが気配もなくお兄ちゃんの背後からぬっと姿を現したから腰を抜かすくらい驚いた。
「返す必要はありませんからどうぞ」
両手で抱えていた服を手渡した。
「新品じゃなくても遥琉のお下がりで十分なのに」
「そういう訳にはいきません。遥琉、前に一度言いませんでしたか?」
「何をだ?」
「ふざけてます?」
橘さんに睨まれ、
「シャワー浴びてくる」
そそくさと逃げ出した。
「裕貴さんも服を着てください。たいくんが起きたら収拾がつかなく……」
何かに気付き下を見る橘さん。ぷぷっとふきだした。
「ぽちゃぽちゃ大好きですものね」
脱がしてと言わんばかりに服を手で引っ張る太惺。お気に入りのタオルまでしっかり握り締めていた。
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