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番外編ぽちゃぽちゃ大好き太惺

寝起きで完全に目が覚めていない太惺は、お兄ちゃんをパパだと勘違いしたみたいで、お兄ちゃんの足にしがみついていた。 「パパじゃないんだけどな」 戸惑いつつもあまりにも可愛い姿にお兄ちゃんの目尻は下がりっぱなしになった。 「たいくん、ストップ。橘に怒られる」 頭の上でひらひらと揺れるタオルを不思議そうにじっと見つめていた太惺。小さなお手手を懸命に伸ばし、だらんと垂れているタオルの端っこを引っ張ろうとした。 「おじちゃんとぽちゃぽちゃに入ろう。未知、悪いが服を頼む」 太惺を抱っこしようと腰を屈めたら、タオルが外れ、パサッと下に落ちた。 「マジか」 お兄ちゃんが太惺を抱き上げ、慌てて後ろを向いた。筋肉隆々で無駄な贅肉はひとつもなく、臀部も引き締まっていた。目を逸らすつもりでいたけど、右肩から腕にかけて彫られた刺青に思わず釘付けになった。 「そんなにじろじろ見るな。恥ずかしいだろう。心に焼きもちを妬かれる」 「決してそういうつもりで見てた訳じゃないの。お兄ちゃんの刺青、はじめて見たから」 「そうか。普通は夜叉とか鬼とか竜だろう。麒麟は中国で縁起がいいって地竜から聞いたんだ。麒麟は仁獣(慈愛の動物)で、優れた君主による仁政が行われると現れると言われているらしい。それに麒麟送子という言葉があるみたいで立派な子供をもたらしてくれるそうだ。あまり目立たないように彫ってもらったんだが、意外と目立つかもな」 機嫌よく笑いながら、裸のままお風呂へ向かった。 「新幹線の時間大丈夫なのかな?」 「さぁ、どうでしょうね」 橘さんもどうしていいか分からず、笑うしかなかったみたい。

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